直売方式に人気店の商品も 廃業の老舗、「令和のマチヤグヮー」に 読谷・高志保「まつだ商店」が再生


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スーパーを「まつだ商店」として再出発させるまつだ商会の比嘉徹社長(前列右から2人目)、照屋雅文店長(同右端)と関係者ら=16日、読谷村高志保

 読谷村高志保で67年親しまれ、3年前に閉店した老舗「スーパーまつだ」を、地元出身の比嘉徹さん(62)=同村=が経営する会社が事業承継した。店舗は再生され、近く再出発を迎える。地域では老舗の廃業によって“買い物難民”が生まれ、通りのにぎわい喪失も懸念された。新店のコンセプトは「令和のマチヤグヮー」。最新技術と温かみが融合した店づくりが随所にちりばめられている。

 かつてあったスーパーまつだは「まつだ商店」として1953年創業。食料品や日用雑貨の小売りのほか、村内の個人経営店に商品を卸した。2020年11月末に閉店し、その後比嘉さんが事業を引き継いだ。「まつだ商会」として、地域で移動販売車を展開したが「限界がある」と店舗の再生に動いた。

 新たな店名は「まつだ商店」。比嘉さんは「比嘉商店でも良かったが、地域のブランドとして残した方がいい」と長年親しまれた「まつだ」の名前を引き継いだ。比嘉さんの実家は過去に「比嘉商店」としてマチヤグヮーを営んでいて、まつだから商品を仕入れていたという縁もある。

 商店はスーパーなどとの差別化を徹底した。かつての店舗の倉庫を改装した建物の入り口はイベントなどでステージとして活用できるように、スポットライトや音響、電源を備えた。トイレは間接照明や箱庭が見え、ジェンダーレス用もある。

 店内は昭和レトロな雰囲気の看板などを設置。「肉屋」「魚屋」が対面販売し、野菜などは地元生産者に売り場を提供する「直売方式」。パンや豆腐などは人気店の商品を取り扱う。健康志向の商品も並び、移住者や観光客の集客も狙う。

 店長の照屋雅文さん(32)は「こだわりの商品が並ぶ。地域の皆さんの要望にも応えられるよう、動き出してからラインナップを見直したい」と語った。レジでは効率的で迅速な決済のためQRやバーコードなど多様な決済方法の導入はもとより、「ユンタクして買い物したい人のために」と「ゆっくりレジ」も取り入れた。比嘉さんは「通りもにぎやかになるように復活させたい」と地域の拠点となる店舗を目指す。まつだ商店は20日午前9時にプレオープン。7月1日にグランドオープンする。

(仲村良太)