「平和の武」空手発祥地の沖縄から 道着にワッペンでウクライナ難民を支援


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沖縄に避難しているウクライナの人々の支援へ、ワッペンの製作を報告する上地流空手道連合会の新垣国広副理事長(左)と與儀清斗事務局長(右)、オレナ・ボガイエヴスカさん=18日、豊見城市の沖縄空手開館

 ロシアによる侵攻で沖縄に避難しているウクライナの人々が安心して暮らせるよう、伝統空手の上地流空手道連合会(上地榮会長)は6月から支援に向けた取り組みを始めた。ワッペンを製作・販売して収益金を寄付するほか、希望者には無償で空手を教えることも計画する。同会は「自分たちができることで貢献したい」と話し、継続した支援の広がりを願っている。

 ウクライナ侵攻から1年を迎えた2月、浦添市在住のオレナ・ボガイエヴスカさん(30)が県内のテレビ番組で支援を呼びかけたことがきっかけ。視聴していた上地流空手道連合会の新垣国広副理事長が5月の総会で起案し、同会の25周年の慈善事業に決まった。

 ワッペンの製作は與儀清斗事務局長が担当。首里城の正殿を配置し、上地流の技を象徴する「龍虎鶴」を描く。空の青色と大地の黄色は、ウクライナ国旗をイメージし、縁には「平和を願う」と英語で書かれている。1枚2千円。避難民支援と首里城復興支援に諸経費を除く全額を寄付する。

 ワッペンは主に会員に購入してもらい、道着に着用することによってウクライナ侵攻の問題を沖縄でも顕在化させることも狙う。

 避難者のうち希望者には道着を無償提供し、道場での稽古も無償にする。伝統文化に触れて県民との交流を促すだけでなく、沖縄空手の神髄「平和の武」に触れ、発信する担い手にもなってもらいたい考えだ。

 豊見城市の沖縄空手会館で開いた会見で新垣副理事長は「20日は世界難民の日。難民全てを支えることは難しいが、沖縄に住むウクライナの人々を助けることはできると思う」と持論を語る。「沖縄空手の他の流派などにも支援の輪が広がってほしい」と願う。

 会見にはボガイエヴスカさんも出席した。「行動を起こしていただき感謝の気持ちでいっぱいだ」と支援を喜ぶ。自身は2015年から沖縄に住むが、両親は今も首都キーウに残っているため、毎日が不安という。「私も沖縄の人の優しさや温かさに触れ、ここに残り続けている。避難する人々にとっても、心の癒やしにつながってほしい」と話した。

 ワッペンの問い合わせは與儀事務局長、電話090(3796)3475。
 (小波津智也)