琉球ゴールデンキングスの「ユース育成特別枠制度」(ユース育成枠)を活用して1月から4月にかけて選手登録され、試合にも出場したキングスU18主将の須藤春輝(18)=那覇高3年。キングス初の制度利用者としてチームに帯同した。プロに向けた大きな一歩となった約3カ月を「プロとのレベルの差を感じたが、学びの多い期間だった」と振り返りながら、目標であるBリーガーへの展望も描いた。
1月の上旬にキングスの桶谷大HC、安永淳一GM、U18の与那嶺翼HC、須藤や須藤の父親による話し合いの席で、安永GMからユース育成枠を打診された。須藤は「チャンスだと思った」と挑戦を決意。背番号0を背負い、プロの世界へ挑んだ。
トップチームに帯同した須藤だったが、毎日がハードだった。チームの試合日や練習に参加し、その合間にU18の練習にも参加するなどほぼ休みはなかったが、学びの連続だった。成績不振でも選手らが声掛けしてチームを鼓舞する姿が印象に残り、ユースに戻るとそれを実践した。U18の与那嶺HCは「須藤のチームでの声掛けがより増えた。チームメートもそうするようになり、(主将の)須藤以外にもリーダーシップを取れるようになってきた」と変化を語る。
U18の活動は順風満帆とは言えなかった。結成当初は4人しかおらず試合もできなかった。さらにコロナ禍もあり、オンラインでトレーニングすることもあった。それでも須藤は「いろいろな経験ができた。苦しい時期を乗り越えられてよかった」と笑顔を見せる。
3点弾や状況判断など課題はまだあるが、桶谷HCは「正しい努力をして、プロ選手になってほしい」とエールを送った。U18の与那嶺HCも「プレッシャーになるかもしれないが、第2の(岸本)隆一になれる可能性を秘めている」と背中を押す。チームもそして、ブースターも“ミスターキングス”岸本に続く、沖縄出身選手の誕生を楽しみにする。須藤の目標は直近ではユース育成枠で再び選手登録し、その先に高卒でのキングスとの本契約を描く。
「Bリーグで活躍するPGになりたい。いずれはキングスを背負う沖縄出身選手になりたい」。「夢は空高く、努力は足元に」と心に刻み、ゼロから始まった歩みが夢へたどり着くことを期待せずにはいられない。
(屋嘉部長将)