岸田首相のあいさつを参列者はどう聞いた? 沖縄全戦没者追悼式 


この記事を書いた人 琉球新報社
あいさつする岸田文雄首相=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園(大城直也撮影)

 沖縄全戦没者追悼式で岸田文雄首相は23日、「戦争の惨禍を二度と繰り返さないという強い決意の下、静かに頭を垂れたい」と述べた。一方で昨年末には安全保障関連3文書の改定で南西諸島の防衛強化を打ち出し、敵基地攻撃能力(反撃能力)を備えた長射程ミサイル配備への懸念が県内では強まっている。岸田首相のあいさつに対し、参列者らは「心に響かない」「沖縄の人を置き去りにしている」と不安や怒りを語った。

沖縄全戦没者追悼式で、岸田文雄首相のあいさつの際に、会場外でカードを掲げる人=23日午後0時41分、糸満市摩文仁の平和祈念公園(小川昌宏撮影)

 首相のあいさつ中、今帰仁村の女性(71)は会場の外から「心で聴く力が必要 耳だけで聞くな!」と書いた紙を掲げた。「いろいろ言いたいことはあるが、この言葉に詰まっている」と語った。

 読谷村出身の平良正さん(75)は祖母やおじを沖縄戦で亡くした。「沖縄戦の悲しみを子や孫に経験させたくない。国は北朝鮮のミサイルを迎撃するというが、本当にできるものなのだろうか」と疑問を呈した。

 沖縄市の島袋悦子さん(67)は「総理のあいさつはありきたりで、基地縮小や子どもの貧困にも触れていたが、胸に響かなかった」と話した。3世代で参列した那覇市の女性(79)は「首相のひとごとみたいな態度に怒りを感じた。沖縄の歴史をちゃんと勉強してほしい。自衛隊のミサイル配備など、沖縄の人を置き去りに前に進んでいて不安だ」と話した。
 (座波幸代まとめ)