先輩たちの悲劇学ぶ 那覇商高、全生徒で平和学習 和魂の塔で焼香も 沖縄


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クラスごとに焼香する那覇商業高校の生徒=23日、那覇市の同校

 慰霊の日の23日、和魂の塔がある那覇市の那覇商業高校では、従来実施している焼香に加えて全学年約千人が平和学習を実施した。同校の前身・那覇市立商工学校の生徒や職員165人は、沖縄戦に動員されて亡くなった。生徒は通信隊などとして動員され、志半ばで若くして命を落とさざるを得なかった先輩たちの悲劇を学び、不戦への思いを深めた。

 真喜屋篤教頭は「沖縄戦から年月が経ち、慰霊祭へ参列される遺族も減る中、戦争を繰り返してはいけないという思いを継承するため、学びの場の必要を感じた」と実施の背景を語る。

 平和学習の授業では、商工学校3年で商工通信隊として動員された、国吉真一さんの沖縄戦体験などをまとめた映像資料を通じ、沖縄戦や和魂の塔の歴史を学んだ。映像視聴後、生徒は各グループに分かれ、平和のためにできることについて考え、「沖縄以外の県や国に、戦争の恐ろしさを伝える」などと意見を発表した。

 全校生徒の焼香に先立ち、慰霊祭では城間美優さん(17)が、「戦争という悲しい出来事を繰り返さず、平和な日々、世の中を求めていくことを誓う」と追悼の言葉を述べた。
 (藤村謙吾)