消えぬ日本軍への憤り 壕追い出され、機銃掃射で母が犠牲 那覇市の小橋川さん 沖縄


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「戦争はやってはいけない」と話す小橋川久子さん=23日、糸満市米須の魂魄の塔付近

 沖縄戦で壕から日本軍に追い出され、母親が米軍の機銃掃射で殺されるのを目の当たりにした小橋川久子さん(86)=那覇市=は「日本軍のことをとても恨んでいる」と、今も憤りは消えない。23日午後、糸満市米須の魂魄の塔に車いすで訪れ、手を合わせた。

 生まれ育った首里に米軍が迫る中、家族で摩文仁方面に逃げた。他に避難してきた大勢の人々と身を寄せた壕に日本軍がやって来た。「弾運びに若い者が必要だ」。一緒にいた県立工業学校生だった兄を含め5、6人がその場から連れ出された。兄の行方はそれきり分からない。

 数日後、再びやって来た日本軍に「ここは軍が使うから住民は出て行きなさい」と追われ、激しい砲爆撃の中を逃げ惑った。母や兄、祖父を亡くし、「軍は住民を守らない」と身をもって体験した小橋川さん。現在の自衛隊増強は住民のことを考えたものではないとし、「戦争をやってはいけない」と語った。
 (中村万里子)