「塩漬け」状態だった石垣の高級リゾートホテル計画、高さ制限緩和で再浮上 実は水面下で進んでいた協議


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石垣市役所

 【石垣】石垣市川平に建設が予定されていたが、一時「塩漬け状態」となっていた高級リゾートホテルの計画が再浮上し、市が川平景観地区の一部で建物の高さ制限を緩和する方向で検討していることが26日までに分かった。市はこれまで高さ制限緩和について二転三転してきたが、このほど地区内に土地を持つ事業者から高さ制限緩和を打診されており、応じる方針だ。変更があれば住民説明会も予定する。

 計画は2016年に持ち上がった。川平地域の乱開発を防ぐため、市は景観法に基づく景観地区として建物の高さを7メートル以下(一部10メートル以下)に制限していた。しかし事業者の制限見直しを求める動きなどを受けて市は18年5月、市都市計画審議会に建造物の高さ制限緩和を盛り込んだ景観地区変更案を諮問。同案は否決され、中山義隆市長も後日、高さ制限を緩和しない考えを発表した。関係者によると建設はその後表向きは「塩漬け状態」となったが、事業者と市は「水面下で」協議を進めていたという。

 今年3月の市議会一般質問で、市は高さ制限緩和を検討していると明らかにした。中山市長らは長浜信夫市議の質問に「事業者から高さ制限7メートルでは地域に貢献できる高付加価値のホテル建設は難しいため、緩和の打診を受けている」とした。事業者保有の約4万8千坪の内、2万6千坪が農業振興地域除外・農地転用されており、ホテル建築は可能だとした。

 6月26日の市議会一般質問では砥板芳行市議がホテル建設を巡る農地転用の手続きについて市などの対応を疑問視し、「(川平)地域に分断と混乱をもたらしたことは大失態だ」と訴えた。
 (照屋大哲)