43年前に、ベトナムから難民として沖縄に来た8人 3年間住んだ「心のふるさと」本部町へ感謝の寄付


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【本部】ベトナム難民(ボートピープル)として、本部町で1980年から3年間暮らした橋本孝さん(61)=東京都在住=ら8人が22日、本部町役場を訪れ、平良武康町長に寄付金を手渡した。橋本さんらは「受け入れてくれた本部町のことは心のふるさとだと思っている。今後も交流を続けたい」と感謝を述べた。

平良武康本部町長(前列中央)を訪ねた元ベトナム難民の橋本孝さん(前列右端)ら=22日、本部町役場

 本部町豊原に当時、難民の収容施設として日本赤十字社の国際友好センターがあった。8人は約3年間施設で過ごすかたわら、雇用先でセメントを作ったり、サトウキビの収穫作業を手伝ったりしたという。

 平良町長は当時を回想し「プレハブの建物で過ごされて、皆さん働き者だと評判だった。わずか何年かの間だったが交じり合って、こうしてまた来てくれて、すごいことだと思う。子や孫にも伝えたい」と歓迎した。

 8人はベトナム戦争後に船を出して日本にたどり着いた。このうち同じ船だった4人は漂流後、日本の漁船に救出されて1980年4月9日に那覇に着いたという。本部には70人ほどがいて、その後、東京やアメリカ、オーストラリアに渡った。滞在中、本部町民から食べ物をもらったり、サッカーで交流したりしたという。

 大阪で機械部品の製作所を営むディン・バンファンさん(67)は今回、5万円を拠出し「会社が大きくなればもっと貢献したい。43年前、助けてくれて感謝している」と話した。
 (増田健太)