クロツラヘラサギ、コアジサシ…希少な鳥類が泡瀬干潟に続々 多い月で54種も 沖縄県調査


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繁殖や子育てに大忙しのコアジサシ=沖縄市の泡瀬干潟(2019年7月撮影)

 沖縄県自然保護課は、2021年度と22年度に泡瀬干潟で実施した鳥類調査で確認された鳥類一覧をこのほどホームページで公表した。環境省レッドリストに登録されている絶滅危惧種IB類のクロツラヘラサギのほか、絶滅危惧II類のコアジサシやセイタカシギ、アカアシシギなどの飛来が確認された。

 鳥獣保護区指定に向け、データ収集のため県独自に月1回の目視調査をしている。21年度は最多で54種(11月)、最少は35種(8、10月)、22年度は最多54種(2月)、最少28種(6、8月)が確認された。クロツラヘラサギは、多い月で22羽(21年12月)、21羽(23年3月)確認された。

 同課によると、確認される鳥の種類は夏場に少なく、越冬で飛来する冬場に渡り鳥などが増える傾向にある。担当者は「一時的なのか毎年なのか、調査を重ねる必要がある」としている。

 沖縄市と中城村にまたがる泡瀬干潟を含む中城湾北部は、クロツラヘラサギの飛来地であることなどから、環境省が10年にラムサール条約の基準を満たす湿地に選定。条約登録には、鳥獣保護区の指定や地元の同意が必要だが、沖縄市は泡瀬干潟で東部海浜開発事業を進めており、開発行為への規制強化につながる懸念などから、地元の同意が得られていない状況がある。
 (慶田城七瀬)