【識者談話】行政は中立性を保つのが義務 石垣市の議会対応文書 波平恒男氏(琉球大学名誉教授)


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 石垣市が4月に新任課長8人を対象とした意見交換会で、議会での答弁対応として「一般的に与党であれば前向き・積極的」に「野党であればその反対」などと記した文書を配布していたことが30日、分かった。同文書の問題点は何か、識者に聞いた。


波平恒男氏(琉球大学名誉教授)

 行政は公平性、客観性が大原則だ。新任管理職の研修で、議員の与野党によって答弁内容に違いがあるのを当然のことのように記した資料を使うのは問題だ。

 実際に与党議員からの質問は執行部の方針を前向きに捉えて柔らかく、野党議員は欠点を指摘し批判的な質問が多い。ただ、議員は行政の実態としての回答を求めているので、答弁は客観性と公平性が求められる。

 日本は米国とは違い、トップが選挙で交代しても職員が大幅に入れ替わる仕組みではない。一般の行政職員まで選挙結果に左右されては困る。行政サービスに中立性を保つのは職員としての義務。首長の交代にかかわらず、法にのっとって行政運営をしていく必要がある。

 示すべきものは与野党に関係なく示すことが原理原則だ。

 議員の後ろに有権者がいることを自覚した上で、公平な行政サービスをしていくことが必要だ。

(政治学)