prime

広がれ、ブラインドサッカー 琉球Agachiが交流試合 アイマスク着用、仲間の声に全集中<沖縄DEEP見る>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
[誓う飛躍]県内初の交流試合を成功させ、円陣を組んでさらなる飛躍を誓う琉球Agachiの選手・スタッフ。ブラインドサッカーの普及を目指す=6月18日、糸満市観光農園

「Voy Voy(ボイ ボイ)」。6月18日、糸満市観光農園の広場に聞き慣れない掛け声が飛び交っていた。サッカーのユニホームにアイマスクを付けた選手たちが、仲間の声を頼りに音の鳴るボールを追いかけていた。

行われていたのはブラインドサッカーの交流試合。企画したのは、競技の普及を目指して活動する「琉球Agachi(アガチ)」。これまで、自由にコートを駆け回るために欠かせないサイドフェンスがなかったため実現できなかったが、クラウドファンディングによる支援と、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)のバックアップを得てフェンスをレンタルし開催された。

[いざ]試合前にアイパッチを張り付ける選手。視力差を公平にするためで、その上からアイマスクを装着する

ブラインドサッカーは5人制で、ゴールキーパー以外のフィールドプレーヤー4人はアイマスクを着用する。一定の条件を満たせば障がいのない人もアイマスクを着用して出場できる。

音の鳴るボールを追いかけて素早く攻める琉球の選手(右)。迫力あるディフェンダーとのボールの奪い合いは見所の一つ
[ぶつかる闘志]フェンス際で激しくボールを奪い合う選手たち。静かな会場に響く音と、全力のプレーに観客は魅了された

「Voy(ボイ)」はスペイン語で「行く」の意味。フィールドプレーヤーがボールを持っている相手に向かって行く時、危険な衝突を防ぐために「ボイ」と声を出さなければならない。

元気な声を上げてプレーを楽しむ選手たちの様子に、チーム代表で沖縄盲学校教諭の屋良景斗さん(32)は「一般の方に見てもらうことが一番大事。大きな第一歩になった。感無量」と目を輝かせた。

琉球アガチには、視覚障がいの有無にかかわらず15人が在籍。交流試合は対戦相手に北海道のチームを招いて実施した。
(大城直也)

[準備万端]自由にコートを駆け回るために欠かせないサイドフェンスやボードを設置する選手ら。クラウドファンディングで集まった寄付を活用し、県外から借用した=6月17日、糸満市観光農園
[支え合い]チームに欠かせないサポーター。ボールに空気を入れるなど練習の準備をしたり、試合でも選手を支援=6月17日、南風原町の県立盲学校
ゴール裏で声を出し、ゴールの位置や距離、角度を伝える「ガイド」スタッフ(左)=6月17日、南風原町の県立盲学校