那覇市議会が政治倫理条例案を可決 贈収賄罪で辞職、市民の審査要求など規定 前議長は本会議を欠席


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇市議会議員政治倫理条例を賛成多数で可決した那覇市議会=5日、本会議場

 那覇市議会(野原嘉孝議長)は5日の6月定例会最終本会議で、議員の果たすべき役割や法令違反をした場合の対応などについて定めた政治倫理条例案を賛成多数(賛成37、反対1)で可決した。条例では、議員が贈収賄などで有罪が確定した時は、市政に対する市民の信頼を回復するために「辞職するもの」との規定を設けた。また、議員に金品の授受など政治倫理基準の違反の疑いがある場合、選挙権を有する市民は「有権者50人以上の連署」を持って議長に対して審査要求できる項目などを盛り込んだ。

 政治倫理に関する条例制定は嘉手納町に続き県内2例目。条例は全20条で構成。4条で議員の禁止行為について、反社会的勢力の活動に関与する行為や地位を利用した金品の授受、市人事への関与、ハラスメント行為などを挙げた。

 条例案に反対したのは大山孝夫氏で、同氏は反対討論で倫理条例が「推定無罪」の原則に反する恐れがあるとして、「より長期に検討を踏まえるべきで現段階で賛成できない」と述べた。一方、条例制定の発端となった久高友弘前議長は最終本会議を含む6月定例会全日程を「体調不良」を理由に欠席した。

 市民から審査要求を受けた議長は有識者で構成する審査会を設置する。審査会は議員への聞き取りなどを踏まえ、違反行為の有無などについて認定する。違反行為が認定されると、議会は当該議員に対して議員辞職の勧告や議場での謝罪、一定期間の出席停止勧告などの措置を行える。

 条例案を議論してきた特別委員会の上里直司委員長は議場で「前議長における金銭授受の不祥事は看過できるものではない。二度と不祥事がおきないよう市民からの意見などを参考に条例案をとりまとめた」と語った。

 条例は市議会のホームページで見ることができる。
 (吉田健一)