ライト兄弟より100年以上前の偉業を発信 「飛び安里」ゆかりの地同士で交流 沖縄市古謝自治会と南風原町「研究会」


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継続交流を確認し記念撮影した知念信恒古謝自治会長(前列左から3人目)、島袋恒政飛び安里研究会長(同4人目)ら関係者=2日、沖縄市古謝公民館

 【沖縄】琉球王朝時代の18世紀、鳥のような飛行体を発明し飛んだとされる安里一族の伝説が伝わる南風原町の「飛び安里研究会」(島袋恒政会長)と、同じ伝承がある沖縄市古謝自治会(知念信恒会長)との初の交流会が2日、古謝公民館で開催された。

 交流会の実現は、5月24日付本紙に掲載された、同自治会「古謝(くじゃ)まーい隊」が飛行実験をしたとされる同区発祥の津嘉山森(標高108メートル)を探訪したという記事がきっかけ。

 安里一族が首里から南風原町に移住して、飛んだとされる山頂が「髙津嘉山森(たかつかざんむい)」ということで、南風原と同じ名称も因縁めいたものを感じさせる。

 自治会は「歓迎 飛び安里研究会様」と大型スクリーンで出迎えた。研究会から6人、自治会からも役員6人が参加した。まず知念会長が区の地勢を紹介、まーい隊で解説を務めた市観光認定ガイドでもある宮城仁さんが市内の伝承の経緯などを紹介した。

 一方、研究会側からは、これまでの講演会やシンポ、小学校での紙芝居の出前授業、飛び安里顕彰記念碑建立、賛歌のCD制作など多彩な活動と、会報発行、調査資料の研究成果が報告された。

 王朝のお抱え花火師であった安里一族。飛翔の伝承は複数箇所にあり、設計図が戦前まで残っていたとの証言から研究者の関心は膨らむばかりだ。交流会では、飛行機の発明者とされるライト兄弟より100年以上前の世界初飛行の偉業として、啓蒙活動を共同で取り組んでいく必要性を確認した。

 島袋会長、知念会長は共に「本場争いをするものではない」と笑顔、「偉業をたたえる新たなスタートとなる有意義で画期的な交流会になった」と喜び、意義を強調していた。

(岸本健通信員)