「可能性ゼロではないと信じ」難病で寝たきりから復職、トライアスロンも 元消防士の赤嶺さんが高校生に講話


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寝たきり生活からリハビリを経てトライアスロンに出場するまで回復した道のりを語る赤嶺政則さん=6月30日、うるま市の具志川商業高校

 【うるま】沖縄県立具志川商業高校は6月30日、人権講話を開催した。原因不明の脊椎の病から寝たきり生活になったものの、2年にわたるリハビリを続けて復職を果たし、今ではトライアスロンにも出場する豊見城市の元消防士・赤嶺政則さん(60)が講演した。赤嶺さんは誰もが不可能だと考えていた復職を「可能性はゼロではないと信じ、リハビリを続けた」と説明した。その後も障がいを抱えながらも訓練を続け、トライアスロン出場が「夢ではなく目標になった」と話し、努力の積み重ねの大切さを伝えた。

 消防士だった赤嶺さんは2001年4月、突然の下半身まひで起き上がることもできず、長期入院した。医師からは「もう生涯歩けない。県内では治療も厳しい」と言われ、寝付くこともできずに「生きていることが嫌になった」という。

 入院3カ月ほどして人工肛門などを医師に提案されたが「自分で努力して、できなければ手術をお願いする」と時間をもらい、自力で車いすに乗ったり、トイレの訓練をしたりして、日常生活の機能を回復していった。

 その後、つえを使えば歩けるほどに回復し、職場の理解を得て消防の現場には出ない総務課での勤務で復職を果たした。

 生活の安定に伴い、障がい者水泳大会や車いすマラソン大会などに挑み、2016年にはパラトライアスロンに初めて1人で参加した。17年には石垣島トライアスロン大会で一般参加者と共に出場し、完走を果たした。

 今年3月に豊見城市消防本部を定年退職した赤嶺さん。「今度は海外のトライアスロンに出場したい」と新たな目標を掲げ、訓練に励んでいると説明した。講話は全教室にオンライン中継した。

(島袋良太)