海の神に1年の豊漁、航海安全願う 宮古島市狩俣の磯津御嶽 漁師や家族ら手を合わせ


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磯津御嶽に向かって1年の豊漁と航海安全を願う根間研二さん(左から3人目)ら=6月21日、宮古島市狩俣の海上

 【宮古島】旧暦5月4日に当たる6月21日、沖縄県宮古島市の狩俣で、海の神が鎮座するという磯津御嶽(イスゥツゥウタキ)に漁師が漁船で向かい、1年の豊漁と航海安全を願った。

 狩俣では、養殖モズクの生産と追い込み漁が盛んで、漁師は毎年旧暦5月4日早朝、漁船で磯津御嶽の沖に繰り出し、海上から御嶽の神に豊漁と航海安全を祈っている。この日も朝早くから漁船が現場の海域を次々と訪れ、漁師ら祈る姿が見られた。

 16年にわたって養殖モズクに携わる根間研二さん(56)は、長男の太一さん(28)とその妻の欄さん(28)、7月に2歳になる孫の清太(しんた)ちゃんらと午前7時に幸潮(さちしお)丸で狩俣漁港を出港した。20分ほどで磯津御嶽を臨む海上に到着した。太一さんが船縁を泡盛と塩で清め、家族で磯津御嶽に向かい、今期のモズク漁が無事済んだことを報告した。1年の家族の健康と養殖モズクの豊漁、航海安全を祈った。

 研二さんは40歳で脱サラし、漁師になった。太一さんは東京でシステムエンジニアの仕事をしていたが、4年前にUターンし、共に生産に関わっている。

 研二さんは「今期の収穫は上々な出来だった。初めて孫と息子の妻も連れだって、磯津御嶽の神様に祈ることができて最高だ」と顔をほころばせた。

(友寄開)