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異文化で視野を広げる <伊是名夏子100センチの視界から>152


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 コロナになり海外旅行も行けず、外国人とふれあう機会がめっきり減りました。私も子どもにも英語を使う機会がほしい、違う文化の生活を肌で感じたいと思い、アメリカからホームステイの子を1カ月、わが家に迎えました。コスメとサンリオ、日本食が大好きな16歳。英語を勉強している息子は間違えたくないようで、一つ一つの会話に慎重になっています。一方で英語が全く分からないけど社交的な娘は彼女と意気投合し、2人で部屋にこもってメークやヘアセット、人形遊びを楽しんでいます。

 私は小さい頃、外国人と話す機会がよくありました。実家が国際協力機構(JICA)の国際センターの近くにあるので、年に数回は発展途上国から日本に来た研修生を家に招いていました。顔を布で覆う人、豚肉が食べられない人などいろいろいて、びっくりしたのですが、英語を話すことでつながれたので、違いがあることこそが魅力でした。

 また英語の教師をしていた父の、同僚の外国人が遊びに来たり、基地に住んでいる方が障害のある子どもたちにパーティーを開いてくれたり、基地の子どもたちとキャンプに行ったこともあります。私が出会った外国人は障害のある私のことを避けたり、遠慮したりというよりも、私ができることをたくさん褒めてくれました。一つ一つのことに「よくやったね」「すごい」と褒めてくれて「あなたならできるよ」と励まされる声掛けが多く、私はとても居心地がよかったです。

 少し古いデータですが、2007年に行われた内閣府の「障害者の社会参加推進等に関する国際調査」によると、ドイツやアメリカの障害者に対する意識は、障害のある人を前にしても9割近い人が「あまり・全く意識せず、気軽に接する」と回答しています。一方、日本では6割の人が「意識する」と答えています。アメリカ人をはじめとする外国人と一緒にいる時に私が感じる居心地のよさは、この数値にも表われています。

 人は一人ひとり違い、いろいろな人が生きているのは当たり前です。しかし無意識にも自分と同じ考えや文化を持つ人と集まりがちになり、自分の視野やチャンスが狭まってしまうことがあります。違いがある人と一緒にいることで、疲れたりイライラしたりすることもありますが、違いを楽しめるような心の余裕を持ちたいです。そしていろいろな発見をし、自分の視野を広げていきたいです。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。