戦前の沖縄に「鉄道マン」 給与通知や辞令から見えるキャリアとは 与那原町で企画展


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鉄道マンのミニ企画展への来場を呼びかける学芸員の喜納大作さん=5日、与那原町の軽便与那原駅舎展示資料館

 【与那原】与那原町の町立軽便与那原駅舎展示資料館でミニ企画展「ウチナー鉄道マンの履歴書」が開催されている。17日まで。戦前に県が運営していた沖縄県鉄道(軽便鉄道)で与那原駅長を務めた知念松盛氏(1907~1998年)に焦点を当て、辞令書などの資料を展示している。

 軽便鉄道は、那覇を起点に与那原線、嘉手納線、糸満線の3路線があり、1941年には年間320万人が乗車し、県民の足として利用された。

 戦後大切に保管されていた知念松盛氏の資料は、2016年に与那原町に寄贈された。この資料を活用しようと、今回の展示が企画された。

 東京鉄道学校の卒業書や就職した県鉄道管理所などが交付した6枚の辞令書からは、知念氏がキャリアを積んでいった様子が読み取れる。

 月の給与の通知書も展示され、1944年9月の通知書は紙がひと回り小さい。学芸員の喜納大作さん(39)は「紙の質が悪く、ガリ版刷りになっている。10・10空襲の前で、物資が足りない様子がうかがえる」と話した。

 そのほか、機関手や鉄道技手を務めた人の辞令書も展示されている。喜納さんは「戦前に走っていた鉄道を支えていた鉄道マンがいたことを知ってほしい」と来場を呼びかけた。

 開館時間は午前10時~午後6時。入館料は中学生以上100円(町内在住者、通勤・通学者は無料)。毎週火曜休館。
 (上江洲仁美)