琉球諸語は「多様性が極めて高い」 国立国語研究所特任助教のセリック・ケナンさん強調く琉球フォーラム>


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琉球フォーラムで講演するセリック・ケナン氏=12日、那覇市首里山川町のダブルツリーbyヒルトン那覇首里城(小川昌宏撮影)

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の7月例会が12日、那覇市のダブルツリーbyヒルトン那覇首里城で開催された。国立国語研究所特任助教のセリック・ケナン氏が琉球諸語の研究について語った。

 ケナン氏はフランス人で父はトルコ人。2007年にトルコ語の講義で日本人と出会い、日本語に興味を持った。12年から京都大大学院で言語学を学び、宮古語を聞いて「日本にこんな言葉があるのかとショックを受けた」。14~16年に宮古島に住んで宮古語を学び、方言大会で最優秀賞に輝いた。18年から国立国語研究所で先島地域の言葉を研究している。

琉球フォーラムでセリック・ケナン氏の講演に耳を傾ける来場者たち

 ケナン氏は琉球諸語は「多様性が極めて高い」と強調。一方で「継承の断絶の危機にある」とし、八重山と宮古は語彙(ごい)などの研究が特に不足していると説明した。

 約1千年前には琉球諸語のルーツとなる琉球祖語があり、南九州から伝わったとされることを紹介。「言語は変化を伴いながら継承され分岐していく」と解説し、「現在の琉球諸語のデータを集めて比較すれば、将来的に琉球祖語を再現できる」と述べた。

 話者が減っていく中、効率的な新手法で調査していることを紹介し、「(調査する側の思いが)最後の継承者たちの意思と合致することが重要」と話した。
 (伊佐尚記)