【深掘り】沖縄県と政府の溝、浮き彫りに 予算の要請で知事上京 政務三役との日程取れず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 近年の一括交付金の減額傾向を受け、沖縄県は2024年度の所要額の確保に向けた国や政党への要請活動を本格化している。だが、暗雲も垂れ込める。沖縄振興を所管する内閣府への13日の要請では、当初は玉城デニー知事が上京して対応する予定だったが、昨年は面談できていた政務三役との面談の調整がつかずに急きょ取りやめに。代わりに池田竹州副知事が内閣府幹部と面談し、翌14日に玉城知事が上京するという異例の形での要請となった。

 県関係者からは「5月から日程調整しているのに」とうらみ節も漏れるなど、県と政府の「溝」が改めて浮き彫りになった。

 「日程がつかないということで、事務方でしかできないということでしたから、副知事から説明させていただいた」

 14日の自民党本部での党沖縄振興調査会。小渕優子会長らとの面談後、玉城知事は報道陣に問われて13日の要請の経緯を説明した。

 県は一括交付金の減額傾向を受け、例年8月に行う国庫要請に加えて昨年度から7月にも要請を実施している。昨年度は玉城知事が内閣府の宗清皇一政務官(当時)と面談していた。

 小渕氏らとの面談では、沖縄振興一括交付金の減額が続くことについての県、市町村の財政への影響について説明したとし、「ハード交付金については、市町村の事業も遅れており、市町村に県の予算を回すと県が遅れてしまう」などと窮状を訴えたと明かした。

 小渕氏らへの説明には、県町村会の宮里哲会長(座間味村長)が同席したが、県市長会からは桑江朝千夫会長(沖縄市長)ら幹部の姿はなかった。

 13日の内閣府への要請では、岡田直樹沖縄担当相宛の要請書に名前を連ねながらも、両団体とも参加はせず。県と市町村の足並みの乱れも見られる。ある政府関係者は「日程が合わなかっただけ。調整不足に過ぎない」と強調するが、県側からは不満が漏れた。

 県幹部の一人は「政務官の日程も取れないのはこれまでにないことではないか。政府は『県と連携して沖縄振興を推進』と言うが、言っていることとやっていることが違う」と不満を募らせる。

(梅田正覚、安里洋輔)