オスプレイの低空訓練、なし崩し緩和 防衛省、区域把握も非公表 地元自治体にも説明なし


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米海兵隊オスプレイの低空飛行訓練イメージ

 米海兵隊の輸送機MV22オスプレイを巡り、沖縄県を除く日本の山岳地帯で低空飛行訓練が可能となった。米側の求めに日本が応じ、従来の高度500フィート(約150メートル)以上から、200フィート(約60メートル)以上に変更された。だが具体的な訓練区域の公表や、地元自治体への説明を行う予定はない。オスプレイは過去に事故が相次ぎ、安全性を不安視する声があるものの、なし崩し的に緩和が進められている。

 飛行制限の緩和は、2021年3月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で実践的な訓練の必要性を確認したことに基づく。22年には9~10月に限り、住宅地上空以外で300フィート(約90メートル)以上の訓練に合意。安全に運用できたとして今年6月上旬、外交、防衛担当者による協議機関、日米合同委員会で7月10日からの実施を決めた。

 米軍は技量維持のため200フィートでの飛行訓練を義務付けており「日本防衛の支援などには、実践的な訓練が必要だ」と主張。協議の結果、敵のレーダーや対空攻撃の回避の他、災害時などに要救助者を早期に発見するためにも、低空訓練が必要との認識で一致した。

 安全対策については(1)事前に500フィート以上で慣熟飛行を行う(2)住宅、学校、病院、原子力・火力発電施設上空で実施しない(3)緊急時に人や地上の建物などに危険を与えず不時着できる高度を保つ(4)送電線から十分距離を取る―と合意した。土日と祝日や、午後10時~午前7時には飛行しないとも申し合わせた。

 防衛省はより具体的な訓練地域を示されているが、同省報道官は「米軍の運用に関することであり、公表は考えていない」としている。

 訓練に当たり、米軍は2日前までに関係地の自衛隊に経路などを通報するとされた。自衛隊幹部は「米軍は必要が生じたとして急に飛んだりする。ルールを守らせることが重要だ」と指摘した。
(共同通信)