シングルマザーに「稼ぐ力」 ITエンジニア講座、来月開始 技術身につけ多様な働き方を支援 学生も対象


この記事を書いた人 琉球新報社
「エンジニアになりたい人がなれる環境を実現したい」と話す齋藤匠理事長=6日、うるま市内

 IT系のエンジニアを育成するNPO法人Everyone.Engineer(エブリワン・エンジニア、うるま市)は8月7日から、学生やシングルマザーを対象としたエンジニア養成講座「Engineer.Okinawa(エンジニア・オキナワ)」を開始する。エンジニアは高収入かつ在宅勤務ができるなど働き方も多様。シングルマザーや学生を対象にすることで貧困の連鎖を断ち切るのが狙いだ。齋藤匠理事長は、沖縄の貧困問題の改善策としてエンジニアを提案する。

 沖縄の貧困に問題意識を持つ齋藤さんは、県内の稼ぐ力の弱さを指摘し底上げの必要性を訴える。自身もエンジニアで、IT系企業の人事や役員を歴任し、業界を熟知。技術を身に付ければ「稼ぐ力が変わる」と話す。

 エンジニア職は需要も仕事の幅も広がりを見せる。在宅でできる仕事も多く、勤務時間を自分で調整できることもある。正社員やアルバイトなど働き方の選択肢も豊富だ。子育てと仕事が両立できる職だという。

 養成講座はオンラインで受講可能。最小限の受講料で内容を充実させるため、趣旨に賛同するパートナー企業を募った。現在は15社集まり、寄付や講演などで協力する。18日からクラウドファンディングも立ち上げ、講座を無償提供できるよう寄付を呼びかけている。受講後は、企業で実践を積むことができるコースも用意。パートナー企業へのインターンシップなども支援する。

 齋藤さんは県内の状況を「企画立案の能力がある人はいる。技術が追いついていない」と指摘する。企画を実現できる技術者を養成することで「県内で企業や事業が立ち上がっていくかもしれない」と期待する。

 社会課題解決に積極的に取り組む県内企業などの姿を見てきた齋藤さんは「沖縄は『誰かのために』という思いが強い。みんなで良くなろうという文化がある」と語った。「沖縄が好きだ」と魅力に引き込まれ、7月中に家族で沖縄に移住する予定だ。「環境に左右されず、エンジニアになりたい人がなれる環境を実現したい」との思いを語った。
 (金盛文香)