「やりがいも難しさも楽しさも」 教員の仕事、大学生が現場で学ぶ 中学校で学習支援 宜野湾市と沖国大


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
真志喜中学校で学習支援実習に励む、沖縄国際大学の鉢嶺咲乃さん=4日、宜野湾市の同校

 沖縄県内複数の大学は単位制実習の取り組みとして教員志望の学生を学校に派遣し、生徒の学習支援などを体験させている。沖縄国際大学は宜野湾市教育委員会と協定を締結し、市内4中学で選択科目の一つに学習支援を実施している。「教員のやりがいも難しさも、教育実習より前に体験できる。見つけた課題は実習に生かすことができる」。リアルな現場を間近で見られ、単位を取りながら現場で学べると学生からは好評だ。

 教育実習は通常、授業だけに限らずホームルームや給食指導など学級運営もこなす。一方で学習支援は、教員の補助的な役割として教室に入り、生徒の学習の手助けをする。支援の在り方は学校や状況によって異なる。

 4日、宜野湾市立真志喜中の国語の授業で、教師の説明に首をかしげる生徒がいた。「『寒』という漢字の間違いが多いです」。生徒はバツが付いた自らの解答を見直すが、誤字に気付けない。そこへ沖国大生(科目等履修生)の学習支援員、鉢嶺咲乃さん(23)が寄り添う。「真ん中の線が1本足りないし、短いよ」。生徒の隣で説明することで、生徒はすぐに間違いを正すことができた。

 教員は「私だけでは、生徒全員に声をかけられないことがある。支援員の存在はありがたい」と話す。人手不足の学校を助けるという位置付けでは決してないが、時にはその一助となりながら、実習生は客観的に授業を観察し、教育現場の理解を深めている。

 鉢嶺さんは「学習支援だと先生の授業を一歩引いた目線で見ることができる。指示の出し方や、子どもが主体的に考えることができる発問の仕方など、子どもの反応と合わせて観察できる。得るものが大きい」と語る。

 教員の多忙さに直面することも多いという。昨年学習支援を履修した沖国4年の大城玲奈さん(21)は「逆に教師を目指す自分の覚悟を、再確認できた」と振り返る。「授業づくりや生徒指導の難しさを知ると同時に、試行錯誤する楽しさもあると知った。改めて教師になりたいと思った」。2人とも、9月には教育実習生として教壇に立つ。鉢嶺さんは「学習支援での気付きをどう実践できるか楽しみ」と、話した。
 (嘉数陽)