気品高く「稲真積」、琉球舞踊の志田家元が披露 都内で「人間国宝の会」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
第16回人間国宝の会で「稲真積」を舞う志田房子家元=東京都千代田区の国立劇場小劇場

 【東京】第16回「人間国宝の会」がこのほど、千代田区の国立劇場小劇場であった。2021年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された琉球舞踊の踊り手、琉球舞踊重踊流宗家の志田房子家元が「稲真積(んにぃまづぃん)」を披露した。紅型衣装をまとい、稲穂を手に豊作祈願の祝儀曲を立方として気品高く舞った。

 同会は、伝統芸能の各分野の垣根を越えた舞台で古典芸の継承や新たな創造を目指すことを趣旨に開催されている。07年から開催されてきたが、国立劇場の建て替えにより、今回が「さよなら公演」となった。

 会の演目は、能楽の合奏の一つである一調一菅「龍虎」に始まり、新内の「蘭蝶 お宮の口説」、義太夫「新版歌祭文 野崎村の段」に続いた。「稲真積」は祝儀曲の中でも最も重んじられた難曲とされ、この日の舞台では奥ゆかしく巧みな動作の志田家元の舞に観覧者が見入った。

 演目「稲真積」の歌・三線は比嘉康春、仲村逸夫、箏は宮城秀子、笛は入嵩西諭が務め、舞台で締めとなる演目を飾った。公演は6月11日。
 (斎藤学)