「黒い雨」「鉄の暴風」二度と起こさない 玉城知事、長崎原爆資料館でトークキャラバン 平和と軍縮で連携呼び掛け


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長崎県でのトークキャラバンの会場となった長崎原爆資料館(資料写真)

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題など、沖縄の米軍基地負担の現状を訴えることを目的とした玉城デニー知事のトークキャラバンが19日、長崎県の長崎原爆資料館ホールで開かれた。玉城知事は、原子爆弾が投下された長崎と、苛烈な地上戦を経験した沖縄という、先の大戦で大きな被害を受けた両地域の共通点を指摘し「(原爆による)黒い雨、(多数の砲弾が撃ち込まれた)鉄の暴風などの体験を二度とすることがないように取り組む」と語り、両地域が連携して平和の実現に尽力する重要性を強調した。

 玉城知事は基調講演でほかに、沖縄での基地負担の現状や、辺野古の大浦湾側における軟弱地盤の存在など新基地建設の難しさを指摘した。同時に、基地問題は沖縄だけの課題ではなく「自分事」として捉えてもらうよう来場者らに訴えた。

 パネル討論では玉城知事のほか、「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎氏、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授、行政法学者の本多滝夫・龍谷大教授が登壇した。

 核兵器廃絶問題の教育研究拠点であるRECNAの中村氏は、安全保障環境が変化する中で被爆地長崎でも核廃絶を悲観視する学生が増えていると指摘した。

 その背景には、核廃絶を目標としつつも、核問題の現状を知らなかったり、核なき世界を実現するビジョンを描けなかったり、方法論が分からなかったりするなど、政治家が考える問題であり「自分には決める力がない」との考えがあると解説した。有事となれば被害を受ける市民一人一人が、現状を変えうる力があると希望が持てる「軍縮教育」の重要性を訴えた。
 (知念征尚)