
共働きやひとり親家庭の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)。民間の学童保育施設が多い県内は、定員や料金、開所時間がそれぞれ異なる。利用を検討する保護者が施設情報を手に入れやすい環境を整えようと、情報システムの企画設計などを手がけるグラシアス沖縄(浦添市、田上カルロス代表)はこのほど、県内の学童施設を紹介するポータルサイト「おきなわ学童クラブ情報」を立ち上げた。各所の特色も発信し、施設と保護者をつなぐ役割を担っている。
開設のきっかけは学童施設職員が明かした悩みだった。役所への補助金申請や報告書の作成、外部からの電話対応などに追われてしまい、子どもたちと過ごす時間の確保が難しいという。一方、利用を検討する保護者にとっても、各自情報を入手し、各所に定員の空きや料金を問い合わせるなど負担が大きい。施設見学のために仕事を休む人もいるという。入学後に子どもの預け先が見つからず、保護者が離職を余儀なくされる「小1の壁」も全国的な問題となっている。

そこで田上代表らは施設と保護者双方の負担軽減を図ろうと、施設の詳しい情報をまとめたポータルサイトを今年3月に設立。持続可能な社会の実現を念頭に、CSR(企業の社会的責任)の一環として運営する。サイト設立までに約300万円をかけており、全て手弁当だ。これまでに県内約600施設が登録しており、市町村と通う小学校を選ぶと該当施設が表示される仕組み。地図上で探すこともできる。
各施設の紹介ページには定員や開所日・時間、利用料金、加入保険などの情報を掲載している。支援方針や行事、タイムスケジュールの欄もあり、サイト上で条件に合った施設を探すことができる。
情報の入力や更新は同社社員が行うが、将来的には各施設の職員が直接情報を更新できるシステムづくりを目指す。「各学童施設の災害時の避難所も載せてほしい」など、保護者からの要望も数多く寄せられている。
サイトに登録している施設は、役所に提出する補助金申請などの手続きを簡素化できるなど、今後行政と連携し、利便性の向上を図りたい考え。現在は新たなシステムを開発中だ。
田上代表は、県内の学童施設の情報を一元化したサイトがない現状に触れ「システムをうまく活用することで利用者や施設、行政も多くの手間が省けてウィンウィンになる。子育てのしやすい街づくりに寄与したい」と将来を見据える。
サイトは「おきなわ学童クラブ情報」で検索。掲載を希望する施設も随時受け付けている。問い合わせは、サイト内の問い合わせフォームから。
(吉田早希)