大阪出身・小長麗史さん、琉球料理の修業に熱 「味伝え沖縄に恩返しを」 保存会理事も期待


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琉球料理の習得に励んでいる大阪府出身の小長麗史さん=3日、那覇市久米の琉球料理店「酒膳眞榮田」

 【那覇】琉球料理の後世への継承が課題となっている中、琉球料理の習得に励んでいる大阪府出身の若者がいる。小長麗史(こながれいじ)さん(21)は今夏から海外の店に勤務することが決まっていたが、沖縄の知人から誘いを受け、「学生時代に暮らした沖縄に、料理を通して恩返しをしたい」と料理修業の地を沖縄に切り替えた。現在は那覇市内で琉球料理保存協会の理事らに指導を受けている。「食材も料理の仕方も沖縄の歴史が詰まっていて面白い」と夢中になりながら研鑽(けんさん)を積んでいる。

 子どもの頃、親が時々連れて行ってくれた回転寿司が、料理人を目指すきっかけになった。「家計も厳しかったはずなのにうれしくて、将来自分で作れるようになりたいと思った」

 2020年から1年間、リゾート地のイメージが強かった沖縄で調理師専門学校に通った。卒業後は大阪に戻り、主に日本料理店で腕を磨いた。海外でも料理経験を積もうと、7月からカナダで働くことが決まっていた。

 準備を進めていた4月、沖縄の知人から連絡が入った。「琉球料理の店を開店させたいという人がいて、料理人を探している」。専門学校でも琉球料理を作ったことは数回しかない。「できない」と思い一度は断ったが、沖縄での学生時代を思い返し、「琉球料理を学んで味を伝えることで、沖縄に恩返しできるのでは」と考え、琉球料理修業の道を選んだ。

 6月上旬、沖縄に移住し、琉球料理保存協会の理事、眞榮田貞子さんが経営する那覇市内の店で指導を受けている。「思いがけず苦戦しているのは方言。ジューシーも硬さによってクファ、ヤファラなど言い方が変わる。料理以外の部分も楽しい」と笑顔を見せる。

 眞榮田さんも「若い料理人が琉球料理を学ぶことは、とても大きな意義がある」と指導に熱が入る。「いつか彼が、さらに後輩へ琉球料理を教えられるようになってほしい」と期待を込めた。
 (嘉数陽)