米オスプレイ事故 海兵隊が報告書 墜落原因「機械的故障」 改善策で新たな装置


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
MV22オスプレイ

 米海兵隊は21日、2022年6月にカリフォルニア州南部で発生し、5人が亡くなったMV22オスプレイの墜落事故の調査結果をまとめた。原因はエンジンとプロップローター(回転翼部分)をつなぐクラッチの作動不良による「壊滅的かつ予期せぬ機械的故障」だと説明した。人為的要因や天候などの影響を否定し、機体に問題があったと認めた形だ。

 クラッチ改善策としてメーカーと共に新たな装置を設計、実装し、問題が発生する可能性を「99%減らした」と説明。だが、装置は「事象を軽減する」ものとしており、本質的な問題点は残っている可能性がある。

 報告書によると、問題は「二重の『ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)』」と呼称され、ギアボックス内のクラッチが滑り、その後、再結合した際に発生した。駆動システムに深刻な損傷をもたらす可能性があるという。

 HCEの「根本的な原因は依然として不明」としている。

 これにより、片方のエンジンが故障したほか、もう一方のエンジンからギアボックスに電気供給を行う「インターコネクト・ドライブ・システム(ICDS)」と呼ばれる装置が故障し、右側のプロップローターの推力が失われ、墜落につながった。

 対策として、米海兵隊の全司令部で、パイロットと搭乗員に対して調査結果を説明し、HCE問題の危険性とエンジン、ICDSが故障する「複合緊急事態」を引き起こす可能性について話し合うとした。
 新たな装置の搭載のほか、飛行制御システムのソフトウエアのほか、複数の部品について材料強度、検査要件を改善するという。

 報告書は、乗員は予期せぬ機械的故障が発生した際に適用される規則に従った対応を行い、過失はなかったと説明。当日の整備にも問題はなく、天候などの外的要因によるものでもないとしている。  (知念征尚、明真南斗)