北曙会(北大東村)の「大東太鼓」が未来遺産に 八丈太鼓を基に独自の伝統育む 上級生から下級生へと技術の継承続ける


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この記事を書いた人 琉球新報社
日本ユネスコ協会連盟による未来遺産の登録証伝達式に向けて、練習を重ねる「北曙会」のメンバーたち=22日、北大東村の人材交流センター

 【北大東】100年後の子どもたちに伝える地域文化や自然に光を当てる、日本ユネスコ協会連盟の未来遺産に、大東太鼓と、太鼓の担い手である北大東村の子どもたちでつくる「北曙会」が登録された。登録証の伝達式が28日、同村で行われる。県内からの登録は3件目。伝達式に向けて、子どもたちは練習に汗を流している。

 北曙会の大東太鼓は、八丈島の開拓者が伝えた八丈太鼓に、和太鼓奏者・林英哲氏の指導が融合し、独特の演奏スタイルを築いている。島内に指導者がいないため上級生が下級生を指導し技術を継承しているのも特徴。村行事には欠かせない存在で、村民の誇りとなっている。現在は幼稚園から中学3年生の32人が在籍。未来遺産登録は2月28日に決定した。

 28日の伝達式に向けて、メンバーたちは練習を重ねる。伝達式の当日は県中学校総合体育大会などと重なり、中学生8人全員が沖縄本島に滞在するため、式典に出席できない。代わりに卒業生たちが島に戻ってきて出演する。

 練習では中学生が小学生を熱心に指導する。北大東中2年の長濱優心さんは「見ている人から自然と拍手が起こるような迫力ある演奏を目指している」と話す。同3年の仲本花蓮さんは「北曙会のすごさを見せてほしい」と思いを託した。

 会長の大城勝彦さん(55)は「大変喜ばしい。先人が残した八丈太鼓を基に新たな伝統をつくっている。島を代表する文化で誇りだ」と話した。

 未来遺産は、文化や自然を100年後の子どもたちに伝えていくことを目指し、継承への努力を続ける人や活動を登録する。
 (岩崎みどり)