高さ30メートルの揚炭機が倒壊 作業員は自力で脱出 沖電具志川火力発電所 事故原因を調査中


この記事を書いた人 琉球新報社
中心部分から大きく倒壊した揚炭機(左)。右側は同型機で、黒い掻取部の上方にオペレーターの運転席がある。2機の奥に石炭を搭載した船が停泊している=27日午後6時43分、うるま市の沖縄電力具志川火力発電所(金盛文香撮影)

 27日午後2時ごろ、うるま市宇堅の沖縄電力具志川火力発電所で、石炭船から石炭を荷揚げする揚炭(ようたん)機1基が倒壊する事故が起きた。沖縄電力によると、倒壊した揚炭機は高さ30メートル、幅70メートルで重さは1100トン。運転室で揚炭機を操作していた委託先の30代男性作業員が全治日数不詳の頸椎(けいつい)症を負った。損害額は調査中。同社によると、石炭や油の流出はなく、電力の安定供給にも支障はないとしている。同社やうるま署が倒壊した原因を調査している。

 沖縄電力によると、2基ある揚炭機のうちの1基が倒壊した。稼働は月1回程度で、今回の事故は稼働中に起きたという。残る1機は倒壊の原因が分かるまで使用を停止する。

 同社によると、具志川火力発電所の揚炭機は1994年に設置された。メンテナンスは常時実施していたという。県内ではほかに金武火力発電所にも揚炭機が設置されているが、定期的にメンテナンスしているため、稼働を継続する方針だという。

 揚炭機は中心部を軸にシーソーのように上下して石炭をすくい取る仕組みで、石炭を掻かき取るシャベル部分の上方に運転席がある。事故発生時は石炭をすくい取るため、シャベルが設置されている部分が降下していた。そのため運転席も低い位置にあり、落下幅も小さく、作業員も軽傷だったとみられるという。うるま署によると作業員は自力で脱出した。

 沖縄電力は「過去に同様の事例はないため、対応を慎重に検討していきたい。ご心配をおかけして申し訳ございません」としている。

 事故現場では27日午後6時45分ごろ、ヘルメットをかぶった複数人が倒壊した揚炭機のすぐ下で様子をうかがっていた。
 (大嶺雅俊、福田修平)