犯罪被害者への見舞金、額や要件を議論 沖縄県の審議会 裁判費用の支援も要望


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沖縄県庁(資料写真)

 沖縄県犯罪被害者等支援審議会(会長・矢野恵美琉球大法科大学院教授)が28日、県庁で開かれ、支援計画に基づいて導入する遺族見舞金の額や要件などについて意見を交わした。加害者と被害者が親族関係にあっても一律で支給制限を設けないと確認したほか、見舞金とは別に裁判費用の支援を県に求めた。県側は審議会の意見を踏まえ、2024年度の予算措置に向けて調整する。

 県消費・暮らし安全課によると、見舞金を直接支給している都道府県の先行例では、遺族見舞金は12都県が実施し、そのうち6県が60万円だった。重症病見舞金の支給は11都県でそのうち6県が20万円と設定。精神療養見舞金は3県が各5万円と定めている。県側は数カ所をモデルにして金額を設定する。

 委員からは、子どもの貧困が社会問題となる県内事情を踏まえた所得制限の設定や、見舞金だけではまかなえない裁判関連費用の支給を求める声もあった。福祉関係手続きで異性の事実婚を認めていることと同様に、被害者支援対象にも同姓パートナーを含めることも県側に提案した。

 矢野会長は「被害者は見舞金制度の利用を思い立つまで数年かかることもある。その気持ちを踏まえた申請期限の設定や早期の支援介入、制度の周知徹底を要望したい」と述べた。沖縄被害者支援ゆいセンター犯罪被害相談員の池原泰子委員は「同センターの支援にもつながらない被害者もいるので、広報の強化も必要だ」と述べた。

 県は22年7月に県犯罪被害者等支援条例を制定したが、県内に同条例を制定した市町村はない。全国で1市町村も同条例を制定していない都道府県は7カ所という。県は条例制定にこだわらない市町村の支援も模索するという。

(嘉陽拓也)