米軍オスプレイ不具合、日本でも発生 普天間配備の機体の可能性


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普天間飛行場に着陸する海兵隊のMV22オスプレイ(資料)

 米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイのクラッチ不具合に関係する事象「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」が日本国内でも1件発生していたことが29日、分かった。沖縄での発生状況を尋ねた本紙の質問に在沖米海兵隊が回答した。所属などの詳細は明らかにしていないが、海兵隊仕様機が国内配備されているのは普天間飛行場のみで、普天間所属機の可能性がある。

 米本国では墜落事故につながり死亡者も出した不具合を抱えたまま、日本の上空を飛んでいたことになる。

 日本国内に配備されている海兵隊仕様のMV22と空軍仕様のCV22のうち、CV22について防衛省は国内でHCEが起きていないと横田基地の周辺自治体に伝えている。

 海兵隊は「現在までに日本で確認されたHCEは1件」と回答。普天間所属機である場合、県外を飛行中に発生した可能性もある。

 在沖米海兵隊は回答で、クラッチ不具合対策として2月3日に出された勧告に基づき特定部品の交換を実施し、「HCEが発生する可能性は大幅に減少した」と説明。これ以降、部品の使用時間が800時間未満のオスプレイのみを飛行させているとした。

 また、操縦士に対してHCEが発生した場合の事象の緩和手順、問題がよく観察される飛行条件などについてブリーフィングを実施しているとし、飛行の安全性を強調した。

 今後は部品の再設計や駆動システムの異常振動発生を地上クルーに警告する仕組みの導入を進め、問題の軽減を図るとした。

 報告書は2010年3月から22年8月の間に、計15件のHCE事象が発生していたと説明していた。また、「根本原因は依然不明」としており、事故の懸念は残る。

(知念征尚)