高齢者「1人でいるよりは安心」 台風6号、避難所で不安な夜 南北大東、欠航続き食品不足も深刻


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 台風6号の沖縄地方への接近で、沖縄県内各地は31日、慌ただしく台風対策に追われた。12市町村は避難所を開設。31日午後に暴風警報が出た大東島地方では高齢者らが避難所に身を寄せた。海は大荒れで船は欠航し、「台風の影響が長引けば食品の輸送に影響が出るのでは」と島民から不安の声が漏れた。那覇空港発着便などは1日の全便欠航が決まり、空港ではキャンセル待ちの観光客らでごった返した。公共交通機関や県内の主要スーパーは1日の状況で運行や営業を判断するとしており、県民生活への影響が長引く恐れもある。 

台風6号の強風で高波が迫る北大東村の江崎港=31日午後5時、同村南(上地順子通信員撮影)

 【南大東・北大東】台風6号の接近で31日、暴風警報が出た南・北大東島。南大東村と北大東村は、それぞれ村内2カ所に避難所を開設し、両村合計で高齢者ら10人が避難した。両島では台風5、6号の影響で日用品を運ぶ船の運航が取りやめになった。ゆっくり本島に向かう台風6号に、島民からは「影響が長引き、食料品の輸送に影響するのでは」と心配する声もあった。

 南大東村は31日午後8時現在で9人が避難する。このうち、高齢者6人が避難する村社会福祉協議会の職員は「避難しているのは、普段から社協を利用する人たちで落ち着いた様子だ」と話す。レトルトカレーなどの非常食を用意し、職員2人が付き添って一夜を明かす。避難中の高齢者は「家で1人でいるよりは安心だ」と話した。北大東村でも避難所2カ所を開設した。

 両島では食料品の不足も深刻だ。月に5、6回、那覇と南北大東島を結ぶ定期船「だいとう」(690トン)が7月19日を最後に定期点検に入った。臨時便の運航が予定されていたが、台風5、6号で海が荒れて中止になった。定期船は10日に復帰する予定だ。

 Aコープ南大東店の西銘優店長は「乳製品、加工肉、野菜など日持ちできない商品が切れている」と話す。27~29日にパン、乳製品、卵などの生鮮食品が空輸で輸送された。「重量に制限があり十分運べるわけではない。また空輸してもらう予定はあるが、台風が本島に向かうのでいつになるか心配だ」と話した。

 記録的な少雨が続く南北大東島では、今回の台風に降水量の回復を期待する声が多かった。しかし、気象庁によると、31日午後9時半までの24時間雨量は南大東で21・5ミリ、北大東も18・0ミリにとどまる。南大東島地方気象台は、台風6号による多くの雨は見込めないと予測している。

(岩崎みどり)