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自然の神秘を次世代に 友寄開(宮古支局)<ゆんたくあっちゃ~>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 友寄開(宮古支局)

 今年4月に宮古支局に異動した。初めて住む土地では新たな出会いや発見が多く、勉強の毎日だ。宮古島市には妻と2歳になる息子と暮らしている。息子の寝かしつけがうまくいかない時、夜のドライブに出掛ける。街の明かりを避け暗い場所で車を走らせると、道路を横断するオカヤドカリ(天然記念物)や準絶滅危惧種に指定されているミヤコヒキガエルなど、珍しい生き物に遭遇することがよくある。そのたびに車を止めて観察にいそしむ。

 7月3日夜に池間島でオカガニの産卵を取材した。オカガニは道路やコンクリート塀などを越え、海岸で産卵する。車にひかれるなどの危険を伴う産卵に、懸命に取り組むオカガニの姿に感動を覚え、汗だくでシャッターを押した。「読者にもこの感動を伝えたい」と思いながら、記事の作成に取り組んだ。

 翌日、同じ時間帯に池間島を再び訪れた。妻と子どもと一緒に。まだ文字が読めない息子にもオカガニの魅力を知ってもらい、自然を大切にする心を育んでほしかったからだ。息子は恐る恐る、手に持ったライトを向け、オカガニの移動を見守った。

 自然の神秘に触れることができる環境が残っていることに感謝の思いでいっぱいだ。この感動を、より多くの人に伝え、この自然を守りたい。次世代を担う子どもたちに対する責任をより強く感じた。

(宮古島市、多良間村)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。