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王者の平川、強みは「天性のストライド」 北の大地で祖父も涙「じいじい孝行」 全国高校総体


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【北海道総体取材班】全国高校総合体育大会・北海道総体第11日は2日、陸上1日目、テニス男女団体戦準々決勝まで、ボクシング準々決勝、バレーボール女子の予選が行われた。陸上の男子400メートル決勝は平川慧(きら)(コザ3年)が46秒63で優勝し、自身の持つ県高校記録の47秒05を塗り替えた。ボクシングはライトウエルター級の川端響也(名護商工3年)が愛媛代表に判定勝ちし、県勢として2015年以来8年ぶりに4強入りした。テニス団体女子の沖縄尚学は3回戦で、昨年決勝で敗れた野田学園(山口)を2―1で下した。準々決勝は大商学園(大阪)に0―2で敗れた。男子の沖縄尚学は3回戦で四日市工(三重)に0―2で敗れた。バレーボール女子西原は予選グループで高松南(香川)に敗れたが、敗者復活戦で大社(島根)に勝利した。

平川「最高のプレゼントに」 3世代が経験者「じいじい孝行」

平川慧(中央)の優勝を喜ぶ母・美紀さん(右)と祖父の新垣盛範さん(屋嘉部長将撮影)

 平川慧の優勝を北海道の地で見守った母・美紀さん(49)と祖父・新垣盛範さん(74)の目に、涙が浮かんだ。2人も学生時代に陸上で活躍した。3世代で陸上経験者というスプリンター一家で全国総体優勝の結果を残した平川は、「一番最高のプレゼントができたと思う」と笑顔を見せた。

 祖父の盛範さんは100メートルで県中学記録を持っていた。母・美紀さんも北谷高時代に400メートルリレーのメンバーとして全国高校総体に出場した。また、おばの新垣亜友美さんの100メートルの県中学記録12秒3(手動)はまだ破られていない。

 そんな平川を練習の送り迎えなどで支えた美紀さんは、レース前の「緊張に慣れることはない」と言う。「去年(四国総体)は予選落ちで本人が一番悔しかったと思う。最後の最後は優勝してほしいと思ったが、無事走れるようにとしか祈ってなかった」

 レース後、平川に会うなり、涙をためた盛範さんは「ゴール10メートル前まで心配だったけど、本当にびっくりした」と笑顔。「高校最後にじいじい孝行してくれました」と語る新垣さんを見つめる平川の表情も、満足そうだった。
 (屋嘉部長将)

「天性のストライド」 コーチ金城さん 平川の強み強調

男子400メートルの優勝メダルをコーチの金城研さん(左)に渡して、笑顔の平川慧(屋嘉部長将撮影)

 平川慧の全国制覇を支えたのがコザ高外部コーチを務める金城研さんだ。400メートルで県勢初の全国高校総体優勝と県高校記録の更新を遂げた平川の強みは、「天性のストライド」にあるという。

 平川の特徴は大きなストライドから、ぐんぐん加速していく走りだ。中学2年の時からコーチを務める金城さんは、体を柔らかく使って地面からの反発をうまく利用できていることが、よい加速につながっているという。

 200メートルの自己ベスト21秒06と県記録21秒02の更新も狙っており、種目を絞ることも考えたという平川だが、最後は400メートルの出場も決めた。1日に3レースを走る過酷な日程の全国総体での2種目出場に、「本音ではやらせたくなかった」と金城さんは話す。

 それでも一走りでしっかりタイムを出す「量より質」の練習で、平川のピークを全国総体に合わせるように取り組んだ。全国の大舞台での優勝と記録更新に「下地はあったのでいつかは出るだろうと思っていた」と、笑顔でまな弟子の活躍を喜んだ。
 (屋嘉部長将)