「あんなに葉が茂っていたのに」 マンゴーやゴーヤー、バナナにキュウリ…旬の青果に甚大被害 台風長期化、農家の目に涙


この記事を書いた人 琉球新報社
葉が生い茂っていたというキュウリのハウス内の状態を確認する畑道の赤嶺道彦代表(左)と研修生の金城友佳さん=3日、南城市の畑道農場

 2日未明から台風6号の暴風域に巻き込まれた沖縄本島や久米島では3日、今が旬のマンゴーやパイン、ゴーヤーなど被害が相次いだ。4日にも見込まれる台風の再接近による吹き返しの風で、一度倒された作物が逆方向になぎ倒され、再生困難になることも。台風の長期化による収穫や出荷の遅れでさらに損害が膨れ上がる恐れもある。農家からは「施設や農作物の被害は甚大で、1千万円ほど損失になりそうだ」との声が漏れるなど、台風のUターンに焦燥感が広がっている。

 県産農作物はマンゴーやパイン、ゴーヤー、オクラなどが出荷シーズンを迎えている。県外でも人気が高く、マンゴーやゴーヤーは品目別で県内農業産出額10位以内に入るなど、沖縄の第一次産業を支える基幹作物だ。

 「7月末まではハウス内の道が見えないほど葉が茂っていた。6月の台風2号の被害からようやく立ち直ったばかりで、収穫作業は楽しかった」。ゴーヤーやオクラ、キュウリなどの夏野菜を栽培する畑道(糸満市)の赤嶺道彦代表は泥水に落ちたキュウリやゴーヤーを一瞥し、目に涙を浮かべた。

 9月末までに収穫する予定だった作物は全て売り物にならなくなった。10トンほどの損失だという。

お盆の出荷用に育てていたバナナの木が折れた様子を確認する石崎ファーム代表の石崎亮さん=3日、南城市の石崎ファーム

 長期化する台風6号は出荷にも影響を及ぼしている。マンゴーなどを生産する石崎ファーム(南城市)の石崎亮代表は「物流が止まって出荷ができていない。設備と農作物を合わせて1千万円ほどの被害になりそうだ」と表情を曇らせた。

 「落ちたマンゴーは捨てるしかない」。久米島町の金城熱帯果樹園では、約5トンのマンゴーが被害を受けた。同園の金城昌秀さん(80)は「ある程度収穫を進めていたが、これだけ被害が出たことはあまりない」と肩を落とした。

 糸満市の岸本ファームは、バジルなどのハーブや長命草などの島野菜、約40~50種類を育て、県内の飲食店に卸している。岸本洋子代表は「やっとコロナが収まり、飲食店に人が戻ってきたところだった。出荷できなくならないか心配だ」と話した。
 (福田修平、岩崎みどり、藤村謙吾)