西向きに進んでいた大型で強い台風6号は4日、宮古島の北北西で向きを東に変え、本島地方に再び近づいている。沖縄気象台が「似たような進路をたどった台風を示すことができない」と述べるほど、過去に例のない動きをたどる台風6号。なぜこのような複雑な動きになっているのか、沖縄気象台予報課の野嵩樹主任予報官に聞いた。
(聞き手・中村万里子)
―なぜ台風は西に進んだ後、また東に戻るのか。
「当初の予想では、太平洋高気圧の張り出しがとても強く、台風は高気圧のへりを西に進んで大陸に向かう予想だった。しかし高気圧の張り出しが予想よりも弱まり、東に衰退した。逆に大陸にある高気圧は強まり、台風が西に進みにくい状況になっている」
―今後、台風は東に進むのか。
「一般的に台風が南西諸島から本州付近に進む時に加速するのは、偏西風に乗るためだ。偏西風が下りてくればいいが、現在はだいぶ北にあるので、台風が偏西風に乗って急に北上する要素がなく、動きが遅くなっている」
「今、台風は太平洋高気圧とチベット高気圧の間に挟まれるような形になっている。今後、気圧が弱い方向に引っ張られる形で、東に寄りながら北上していく」
―台風がまた発達することもあるのか。
「東シナ海の水温は基本的に30度くらいはあるので発達するが、西側に向けて進んだ時に(台風で)海水が混ざったので(水温が下がり)、今は少し勢力を落としている。これから東に移っていく段階は、水温の高い場所を進むので、少し発達していくだろう」
―今回の台風の特徴は。
「進路が東から西に変わったこと。沖縄付近で動きが遅いため長期間、高波や暴風、大雨の影響を受けている。一番危惧しているのは雨だ。6日にかけて300~400ミリの雨を見込む。すでに300ミリの雨が降っており、被害が広がらないか心配している」