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近年、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)の減額が続いていることで、県や市町村のインフラ整備に影響が生じている。当初の事業計画から10年以上にわたって完了に遅れが出ている道路整備事業もあり、自治体からはハード交付金の増額を求める声が高まっている。県はハード交付金を含む地方向け補助金の所要額確保に向けて昨年度から国庫要請の回数を増やしたり、減額の影響を大きく受ける事業を示す資料を作成したりするなどして、国との予算折衝に臨んでいる。
渋滞が慢性化している豊見城中央線の高安工区は、当初は2012~18年度の事業計画だったが、予算減額により完了は26年度に延期。現在は取得予定地の買い取り要望があっても十分に応じることができない状況だ。近隣住民から「通るたびに混んでいる」などと早期の事業完了を求める声が上がっている。
学校生活にも影響が出ている。1982年に建築された県立名護高校は、築41年が経過し、各所にコンクリートの剝離やひび割れが目立っている状況だ。校舎改築を当初2020年度完了と見込んでいたが、24~25年度に見送られた。県教育委員会の担当者は「工期が延びている間、危険な状態が継続していることが問題だ」と指摘し、大規模地震など災害時の危険性を不安視した。
一括交付金が創設された2012年度のハード交付金は771億円。14年度には932億円とピークを迎えたが、その後は減額傾向が続く。県は例年8月と11月に実施していた国庫要請について、急激に落ち込んだ22年度からは7月にも実施するようになった。
県は今回の要請で、23年度のハード交付金が12年度比49%減の397億円と大幅に減額された一方、国直轄の県内分の公共事業費は12年度比3%増の1947億円と横ばい傾向が続いていると指摘する資料を作成し、国側に示した。
さらに国全体の公共事業関係費も12年度比62%増の7兆4136億円と増えていることも示し、国にハード交付金だけ減額が続く状況を客観的に示して増額を要望する。
県の担当者は「この10年間、国直轄の公共事業費はほとんど減っていない中、ハード交付金を含む地方向け補助金は減り続けている。国には地方向け補助の確保を重点的に求めていく」と語った。
(與那原采恵、梅田正覚)
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