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県内鶏加工 最高373万羽 22年度 鮮度維持し流通、需要増


社会
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 2022年度の食用鶏のブロイラーの県内の食肉処理羽数が、統計を開始した1992年以降、過去最高の373万3950羽(前年比1.0%増)だったことが、5日までに分かった。県などによると10年前と比較すると70万1462羽(23.1%)増加しており、18年度以降は毎年過去最高を更新している。単価が他の肉より安く、冷凍されずに新鮮なまま流通していることなどから、消費者の県産志向が強いとみられる。

 県のブロイラー生産は沖縄食鶏加工(八重瀬町、上門恒夫会長)と中央食品加工(名護市、樫村充彦社長)がほぼ全てを担っている。23年度の生産について両社は、鶏舎拡大など需要増に対応した増産を計画している。

 県畜産振興公社は、県産食肉の消費拡大を目指すため1992年から「まーさんシール」の取り組みなどに力を入れてきた。現在は増産しても需要に応え切れていない状況だ。

 また売れ行きが課題だった胸肉についても、高タンパク低脂質な栄養素が注目され、近年の健康志向やトレーニングブームなどで消費が増えてきているという。また県食鳥処理協業組合では、胸肉のレシピを公開するなど消費拡大に取り組んでいる。

 22年末には鳥インフルエンザの感染が県内で確認されたが、年間の生産量への影響はわずかだったという。

 増産に関しては、生産コストを抑えるため大きな鶏舎が望ましいが、県内では土地の確保が難しいという課題もある。騒音や臭いに対するイメージから、鶏舎建設を予定しても近隣住民から反対される場合もある。

 沖縄食鶏加工食品事業部の親川達也執行役員営業部長は「これからも需要に応えられるよう、生産拡大に力を入れてきたい」と述べ、周囲と調整しながら生産量を増やしていく考えを示した。
 (福田修平)