井上ひさし原案の芝居になった名木が台風で倒壊 沖縄戦知るガジュマル 地元「どうにか復活させたい」 伊江島


この記事を書いた人 琉球新報社
台風6号の影響で根元から折れたニーバンガズィマール(名嘉實さん提供)

 【伊江】終戦後、敗戦を知らない2人の日本兵が2年あまり生活した伊江村西江前にあるガジュマル(ニーバンガズィマール)が、台風6号の影響で倒れた。戦前から戦後の歴史が刻まれたガジュマルの倒木に、住民からは惜しむ声が聞かれた。

 ニーバンガズィマールは、1945年8月の終戦後、島に残されて敗戦を知らないうるま市出身の佐次田秀順さんと宮崎県出身の山口静雄さんの2人の日本兵が、米兵から身を隠すために生活していた。

 沖縄の名木百選にも選定されており、これまで、多くの観光客や学生が平和学習などで訪れていた。作家の故・井上ひさしさん原案の舞台劇「木の上の軍隊」のモデルにもなった。

 10年以上、ニーバンガズィマールの管理をしてきた同村西江前の宮城孝雄さん(74)は「毎日、落ちた枝の掃除をしたりしていた。折れているの見てショックだった。島のシンボルのような樹木だったので、どうにかして復活させたい」と話した。
 (金城大樹)