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30年ぶりに上演の芝居「浜育ち」 急展開の恋物語、盲目の父は… 劇団花道が実現


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
一斉に結婚を申し込まれるハールー小(中央・福島千枝)と娘のために決断をする父(右から4人目・具志清健)=7月7日、浦添市の国立劇場おきなわ

 劇団花道(津波盛廣座長)は7月7日、うちなぁ芝居のかりゆし芸能公演「浜育ち」(渡嘉敷守良作)を浦添市の国立劇場おきなわで上演した。動画投稿サイトのユーチューブにあった同作品を津波代表が台本に書き起こし、約30年ぶりの上演を実現させた。

 盲目の父(具志清健)と浜の近くで暮らすハールー小(福島千枝)は、那覇の学生(比嘉克之)が溺れているのを助け、仲良くなる。一方、村長の息子(山内昌太)からプロポーズを受け、連れて行かれそうになり、隣人で耳が聞こえない次良(与座幸賢)に助けられる。息子が断られたことに腹を立てた村長の妻(宮城能香)はハールー小親子を村から追い出してしまう。ハールー小を追った那覇の学生、村長の息子、次良が一斉に結婚を申し込む。悩むハールー小の決断を助けようと、父は海に身投げ。ハールー小は次良を相手に選ぶ。

 誰からも好かれるハールー小を福島がみずみずしく、娘思いの父を具志が落ち着いた演技で表現した。不器用ながらもまっすぐにハールー小を思う次良を与座が巧みに演じた。

 恋物語が急展開するラスト、盲目の父が娘を思って身投げする場面が衝撃的で、その意味を考えさせられた。劇中でハールー小の心理描写がもう少しあると、結婚相手に次良を選んだ意味をより深く理解できた。
 (田吹遥子)