福祉避難所の開設、7市村のみ 台風6号の接近時 在宅療養者の避難は病院が中心に 医療関係者「自治体の支援体制見直しを」


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎

 台風6号により県内で大規模な停電や断水など生活インフラに影響が続いた1~6日、通常の避難所とは別に高齢者や障がい者などを対象とした福祉避難所がある25市町村中、実際に開設したのは7市町村にとどまることが9日、分かった。病院に避難する在宅療養者も目立つため、医療関係者からは「自治体にある避難所の電源設備整備や周知を広げ、事前に避難できる体制にしてほしい」との声が上がっている。

 長引く停電で在宅療養者の中には酸素濃縮器の電源不足で病院に搬送されたり、電源を求めて病院に避難したりした事例もあった。

 福祉避難所は、高齢者や障がい者、乳幼児など避難所で特別な配慮を必要とする人向けに開設される。各市町村は公共施設や協定を結ぶ高齢者施設を指定し、首長の判断で開設する。2022年10月1日現在、福祉避難所は県内25市町村に192カ所(そのうち電源設備設置は20市町村87カ所)あり、16市町村は未設置だった。

 台風で福祉避難所を開設したのは、石垣、宮古島、宜野座、北中城、南大東、北大東、伊平屋の2市5村。未開設の自治体は「必要とする人がいなかった」や「指定する福祉施設が停電したり、コロナ患者がいたりした」と説明した。

 行政や医療機関などによると、県内の在宅酸素療法の患者は推定2千人。県災害医療コーディネーターの佐々木秀章医師(沖縄赤十字病院)は「停電が長期化すると医療機関には在宅療養者以外に多様な対応が求められる。災害時の要支援者については今回の台風を契機に行政側で体制を見直してほしい」と呼び掛けた。
 (嘉陽拓也、渡真利優人、玉寄光太)