泡消火剤に高濃度PFAS 那覇市、7月の流出事故で検査結果を公表 最大4800リットルが外部に


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地下駐車場にたまった泡消火剤=7月25日、那覇市銘苅のなは市民協働プラザ(小川昌宏撮影)

 7月に那覇市銘苅のなは市民協働プラザ地下駐車場と市金城の市総合福祉センター地下駐車場で泡消火剤が流出した事故で、那覇市は9日、消火剤に有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が含まれていると発表した。市が検査した4地点いずれも国の暫定指針値(1リットル当たりPFOS・PFOA合計50ナノグラム)を超える高濃度のPFASが検出された。市は福祉センターでの流出について、新たに道路側溝を通じて消火剤を含む水が推計で最大4800リットルが外部に流出したと公表。水は側溝を通って海に流れた。

 市によると、検査でPFASのうち、PFOS、PFOAの2物質などが検出された。福祉センターでは、雨水槽からPFOSが1リットル当たり1千万ナノグラム、PFOAが1リットル当たり5万5千ナノグラムが検出された。市は現在、2施設以外にもPFASを含む泡消火剤が貯蔵されていないか調査を進めており、消火剤の切り替えを急ぐ考え。

 協働プラザでは、駐車場内でPFOSが1リットル当たり490万ナノグラム、PFOAが1リットル当たり100万ナノグラム検出された。雨水槽では、PFOSが1リットル当たり56万ナノグラム、PFOAが1リットル当たり17万ナノグラム検出された。

 流出事故があったのは福祉センターが7月17日で、協働プラザが7月25日。流出した消火剤は現在、民間業者が市外のヤードで保管しており、今後、処理する方針。一方、協働プラザの駐車場は現在も利用ができない状態で、市は消防との協議を踏まえて早期の利用再開を目指す。

 県防災危機管理課によると、2021年の調査で、公共施設などで使われているPFASを含む泡消火剤を保有しているのは那覇、浦添、読谷の3市村だが、琉球新報が確認したところ浦添市と読谷村はすでにPFASを含まない泡消火剤に切り替えている。一方、県環境保全課によると、県有施設については23年2月時点で県有5施設に計5920リットル保有されており、県は保有分の切り替え作業を進めている。
 (吉田健一)