【うるま】うるま市は9日、市具志川の具志川グスクとグスクに構築された壕の二つを市文化財に指定した。壕は戦時中に構築され、壕にいた当時15~32歳の23人のうち13人が「集団自決」(強制集団死)で亡くなった。具志川グスクは紀元前1400年頃の遺跡で現在も地域の拝所として大切にされている。県内には多数の戦争遺跡があるが文化財指定は進んでいない。戦争体験者の高齢化が進む中で戦争を記録した場所を保存し、県内各地で起きた「集団自決」(強制集団死)を後世に伝える上で大きな前進となった。
壕は1944年に日本軍が構築した。日本軍が南部へ移動した後に住民が避難のために使ったり、具志川の青年男女で組織される警防団が見張りで使ったりしていた。「集団自決」は4月4日に起こった。米兵に追い詰められた警防団23人が、日本軍から「自決」用に渡された手りゅう弾を起爆し13人が亡くなった。
10人が生存するも、中には生還に引け目を感じて長い間、証言できない人もいた。2005年発刊の具志川市史や13年発刊の具志川字誌で証言が収集され、具志川グスクの壕で「集団自決」があったことの裏付けとなった。20年にグスクと壕の所有者である具志川自治会が市に申請し、今回の指定となった。
具志川グスクからは約3500年前の遺物も出土している。年に4回開催される「麦稲四祭(ウマチー)」で地域住民が拝む場所でもある。拝所はグスク頂上にあるが道の整備が不十分で登るのが困難な状態になっていた。
具志川自治会の高江洲朝美会長は「『自決』にまで追い込む悲惨な戦争があったことを知るのは大事だ。平和学習などにつなげたい」と話した。
(金盛文香)