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麻生氏「戦う覚悟」発言に八重山の防衛協会幹部の反応は


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 台湾を訪れている自民党の麻生太郎副総裁が8日、講演で日米や台湾に「戦う覚悟」が求められていると主張したことについて、「台湾有事」を巡り軍事強化が進む宮古や八重山では一部肯定の声があった一方で「軽はずみだ」「戦争をあおっている」と批判も上がった。沖縄戦体験者からもあきれる声が聞かれた。

 八重山戦争マラリアを語り継ぐ会の事務局長、宮良純一郎さん(73)は「過去の戦争の反省をしていないからこういう発言が出る。戦争をあおる発言はやめてほしい」と訴えた。軍事によらない平和な社会に向け、住民が声を上げ続ける必要性も強調した。平和運動センター宮古島の福里猛共同代表(45)は「平和外交の努力をせず、軍事力を前面に押し出すしかない日本政府の姿勢の現れだ」と批判。各国の軍事力強化のエスカレートに懸念を示し、沖縄が緩衝地帯として平和外交の一翼を担うことを訴えた。

 戦前台湾に疎開し、旧制中学で学徒動員された宮城政三郎さん(95)は「浅はかだ。台湾と中国との関係も考えてあげないと。戦争させないように日本が果たすべき役割への認識が欠けている」と嘆息した。

 一方、八重山防衛協会の相談役、三木巌さんは「真実を言っただけだ」と肯定的に捉えた。「他国が攻めてきたらどうするのか。戦争を食い止めるには軍事的抑止力と戦う意思が必要だ」と述べた。(照屋大哲、友寄開、中村万里子)