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伊江島の言葉、1万3000語を本に 82歳の新川さん自らパソコン購入し作成 村に寄贈


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友人の内間博昭さん、福地治明さんと共に村長室を訪れ、感謝状を受け取る新川隆男さん(中央)=7月20日、伊江村役場

 【伊江】伊江島の言葉を集めた「伊江島方言 シマムニ 俚語(りご)・俚諺(りげん)(土地の言葉・言い伝え)」をまとめ、伊江村へ寄贈した新川隆男さん(82)への感謝状の贈呈が7月20日、伊江村役場で行われた。内間常喜副村長から感謝状と謝礼金が手渡された。本はB5判337ページで、およそ1万3千語の伊江島の言葉が収められている。

 新川さんは伊江村川平区出身、うるま市在住。本を書くきっかけは1985年、ラジオから流れる方言ニュースだったという。「ラジオを聞きながら、この言葉は伊江島では何と発音するのだろうと思い出し、ノートに書き留めていた。その後、パソコンを購入し入力した。パソコンを打つのが楽しくなって、気付けば単語がこんなに増えていた」と振り返る。

「伊江島方言 シマムニ 俚語・俚諺(土地の言葉・言い伝え)あんなことやこんなこと」の表紙

 辞書としても使えるよう50音順に並べたり、間違いはないか友人や知人に確認してもらったり、何度も校正した。「途中でやめようと思ったけど、周りの声かけもあり、やっと形として残すことができた。出版も考えたが、費用がかかることから断念。記録を残すことが後世に残ると思い、村に寄贈することにした」と経緯を語った。

 新川さんは「感謝状と謝礼金もいただき、身に余る光栄に思う。謝礼金は次代を担う子どもたちのために使ってほしいので人材育英基金に寄付したい」と話した。

 内間副村長は「新川さんが島で過ごした多感な時期、家庭や地域で見聞きした生活習慣やシマグチを丹念にすくい取った渾身(こんしん)の1冊であり、望郷の思いが込もっている。長い期間のご労苦に敬意と感謝を申し上げる」と述べた。玉城洋之教育長は「子どもたちの学習も含め、さまざまな活用方法を検討したい。貴重な資料だ」と感謝した。
 (知念光江通信員)