沖縄の木の魅力、デザインで発信 花の座面や和紙照明も 県立芸大3学生の作品、世界で入賞


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入賞した(右から)喜友名美沙希さん、稲嶺優子さん、藤原颯真さんと3人を指導する高田浩樹准教授=8日、那覇市首里崎山町の県立芸大崎山キャンパス

 沖縄の木の魅力を知ってもらいたい―。世界最大級の国際デザインコンペで「ヤングデザインパイオニア賞」となった藤原颯真さんの作品は、県産木材を使用した椅子だった。コンペの家具部門と照明部門では、県立芸術大でデザインを学ぶ大学院生2人も3作品で入賞し、同大生の作品が世界の舞台で高い評価を受けた。

 藤原さんが制作したのは「Layer Stool」。沖縄固有のリュウキュウマツをはじめ、イタジイなど9種類の県産木材を使った。うるま市の木材屋などで購入した木材や、虫食いや売れ残りなどの端材を提供してもらって板材に加工。座面部分の板材を斜めに重ね合わせることで、すべての木の表面を見せる工夫をした。

 滋賀県出身で、大学進学で沖縄に来た。本州の木との色や香り、手触りに違いを知りデザインに生かした。「興味を引くような見え方にチャレンジしたのが良かった」と話す。将来は世界で活躍できるメーカーのデザイナーになるのが目標だ。

 コンペの各部門はプラチナ、ゴールド、シルバー、アイアンの各賞が贈られる。家具部門は最も人気で、約90の受賞作のうち日本人は10人、うち3人が同大学生だった。花の座面で四つの機能がある椅子「Flower Stool」を家具部門に出品し、アイアン賞だった大学院1年の稲嶺優子さん(23)は「改善して次はさらに上を狙う」と語った。大学院2年の喜友名美沙希さん(24)は照明と椅子を一体型にした「Hotaru Stool」が家具部門で銅賞、和紙を使った「Waon Lighting」が照明部門アイアン賞となり「2点の受賞は成長だった」と話した。

 3人を指導する高田浩樹准教授も数年前に照明部門で銀賞を受けており「普通なら30~40代でやっととれるような賞を20代の3人が受賞した」と話した。藤原さんと稲嶺さんの2作品は、世界で巡回展示された後、イタリア・コモの美術館に永久コレクションとして保管される。
 (高橋夏帆)