4000年前から八重山でブタ飼育? 貝塚から「下あごの骨」 本州や九州よりも古く 名古屋大が発表


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前面(矢印部分)がへこんだブタの下あごの骨(新美倫子名古屋大博物館准教授提供)

 名古屋大博物館と沖縄県立埋蔵文化財センターの共同研究で、八重山地域で約4千年前からブタを飼育していたことが分かった。名古屋大が8日、発表した。波照間島(竹富町)の下田原(しもたばる)貝塚から出土したイノシシ類の骨を調べ、家畜化の過程で起きる「下あごの骨の前面がへこむ」という変化が確認できたことなどから、野性のイノシシではなくブタが飼育されていたと分かった。

 骨の年代測定も実施し、4200~3900年前ごろという結果が出た。

 本州や九州では約3千年前の弥生時代からブタ飼育が始まった。名古屋大博物館と県立埋蔵文化財センターのこれまでの研究で、沖縄本島では7200年前からブタが飼育されていたことが明らかになっている。今回、八重山でも4千年前のブタ飼育が確認できたことで、沖縄の広い範囲で本州・九州よりも古くからブタが飼育されていたことが明らかになった。

 研究代表者の新美倫子(にいみみちこ)名古屋大博物館准教授は「次はもう少し新しい年代の骨を調べ、最終的には沖縄のブタ飼育のシステムがどのように移り変わってきたかを明らかにしたい」と話した。

 研究成果は、2023年7月27日付で沖縄考古学会の学術雑誌「南島考古」42号に掲載された。
 (伊佐尚記)