73年愛されたガジュマル撤去へ 幼稚園のシンボルツリー 送別で19日まで園庭を開放 糸満・ゴスペル幼稚園


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延命のため大きくせん定された親ガジュマルと、枝を移植した「子ガジュマル」を囲む園児と卒園生、職員=9日、糸満市糸満のゴスペル幼稚園

 【糸満】糸満市糸満のゴスペル幼稚園(山内淳園長)にある樹齢73年のガジュマルが、老化に伴い21日に撤去されることになった。園児や卒園生、地域に長年親しまれた園のシンボルツリーだ。園は、現在幹の部分だけが残っているガジュマルの送別と、枝を移植した「子ガジュマル」のお披露目のため、園庭を開放している。

 ガジュマルは園が創設された1950年に植えられ、枝の広がりは直径約20メートルまで成長。木登りしたり昼食を食べたりする憩いの場として愛され、73年間で2千人超の卒園を見送った。

 2011年の台風で幹が大きく傾いた後も、園は木の延命を願い、幹の負担を軽減しようと年2回の枝せん定を続けたが、次第に幹の空洞化が進んだ。園児の安全確保のため、半年前からは木登りを中止。職員らで話し合った末、現在残っている幹の部分の撤去を決めた。

台風で傾く前の、枝を広げたガジュマル=2009年ごろ(ゴスペル幼稚園提供)

 「ガジュマルのDNAをつなごう」と、4月にはわずかに生き残った枝を鉢に移植した。親子3代で同園に通い、移植した「子ガジュマル」を2カ月間育てた玉城渉さん(51)は「地域のシンボル的存在。思い出の中心にいつもガジュマルがある」と惜しむ。母の好子さん(75)は「木の周りで運動会をしたり木陰でバザーを開いたり、思い出が多い。撤去は残念だが、長いこと頑張ってくれた」と感謝。娘(8)は「いつもガジュマルに登って遊んだから寂しいけど、子ガジュマルから新芽が出た時はうれしかった。元気に育ってほしい」と子ガジュマルの成長を願った。

 山内園長(46)は「愛されたガジュマルで、撤去は苦渋の決断だった。お疲れさまと伝えたい。今後は子ガジュマルをみんなでしっかり育て、歴史をつなげていきたい」と話した。園庭開放は14~19日午前9時~午後5時。事前連絡不要。問い合わせは同園、電話098(994)2145。

(岩切美穂)