草の根交流 県がサポート 齋藤勁・政策参与インタビュー 平和脅かさない外交を


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「沖縄には外交の蓄積がある」と話す齋藤勁・県政策参与=9日、那覇市の琉球新報社

 民主党政権で副官房長官を務めた齋藤勁(つよし)氏が、4月に県の政策参与に就任してから4カ月が経過した。政権中枢で働いた経験や培った人脈を生かした助言などが期待されている。齋藤氏に、県が注力する「地域外交」への提言などを聞いた。

―政策参与としての仕事の内容は。

 「月に何度か沖縄へ来ている。直接職員に指示をするのは遠慮しているが、知事や副知事、政策調整監などに感じたことを伝えている」

―県は「地域外交」に力を入れている。どう考えるか。

 「自治体の地域外交は沖縄に限らず全国で取り組んでいるところがあるが、試行錯誤が続いている。ただ、琉球王国の歴史を持つ沖縄は、すごく蓄積のある県だ。現代でも世界のウチナーンチュ大会など、とても良いネットワークがある。それを学び合う力や稼ぐ力など次のステップにしていくことが重要だ。主体は行政としての県だけではなく、例えば各地域や文化、芸術、スポーツなどそれぞれの分野で蓄積がある」

―国の外交とのすみ分けは。

 「アジアでも政治体制はそれぞれの国で違う。違いを研究する必要はある。もちろん領土や領海については国同士で議論をしなくてはならない。ただ、市民はそれぞれの国で生きている。人と人の、草の根の交流こそを県がサポートしていく。それこそが平和を脅かさないための外交だ」

―台湾有事の起こる危険性をどう考えるか。

 「日本政府も原則は『一つの中国』を認めている。そこで有事、戦争が起こるということは考えがたいし、冷静に見た方がいい。台湾は半導体の技術も高く、中国にとっても衝突すれば損失が大きい。さまざまな権益で張り合ってきたが、そんな時代ではない」

―民主党政権は、辺野古新基地建設を巡って混迷した。

 「関わった者として、今もなお解決に向けての大きな一歩を踏み出せていないのは本当につらい。軟弱地盤が発覚した後も計画を変えないのはクレイジーだ。これだけ辺野古が長引いている間も、普天間では訓練が繰り返されている。県民はノーと示したが、住民自治も国と自治体の対等もないこの国はおかしい」

―台風6号では大きな被害が生じた。

 「今後も台風が長逗留(とうりゅう)することはあり得る。県民も観光客も安心できるように、災害に強い観光県にすることが必要だ」 

 (聞き手・沖田有吾)