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「きくさんの思い、伝え続ける」 沖尚高生が小中学生向けにあす14日ワークショップ 白梅学徒隊を語り継ぐ


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沖縄戦について伝える活動に取り組む沖縄尚学高校の玉城美柚さん(中央)、平良柚さん(右)、山川愛莉さん=10日、那覇市の琉球新報社

 沖縄戦で負傷兵の看護に動員され、戦後、語り部や平和運動に尽力した元白梅学徒の中山きくさん=1月に死去、享年94=が生前、交流を続けた沖縄尚学高校地域研究部は、中山さん亡き後も白梅学徒隊の沖縄戦体験を語り継ぐ活動に取り組んでいる。14日、那覇市の県立図書館でワークショップ「高校生と考える沖縄戦~白梅学徒隊が教えてくれたこと~」を開く。2年の玉城美柚(みゆ)さん(17)は「今度は私たちが語り部として伝えていきたい」と話す。

 沖縄尚学の地域研究部と中山さんの交流は2004年からで、約20年間にわたった。ワークショップは、玉城さんと2年の平良柚さん(17)、山川愛莉さん(17)を中心に企画した。ただ、3人は一度も中山さんに会えずに、中山さんは亡くなった。このため、同部OBで中山さんと20年の親交がある「白梅継承の会」の新垣ゆきさん(36)が“橋渡し”をしてきた。「きくさんは『動かなければ何も始まらないよ』とか、『誰よりも戦争が嫌いでみんなの平和を願っていたよ』といった言葉を聞いて、継承を託された重さを感じた」と玉城さんは実感を込める。

 同部に入って初めて、沖縄戦で同年代の女学生が看護要員として動員された歴史を知る生徒も多い。玉城さんもその一人だ。「同じ世代の子どもたちが戦争に参加していたことは衝撃だった」と知った時の思いを振り返る。

 山川さんと平良さんも「怖い」という印象だった沖縄戦について、白梅学徒隊を知り、変化が生まれたという。「同じ高校生の視点から学べる」「きくさんの思いを伝える活動ができてうれしい」とはにかむ。

 ワークショップは小中学生対象。絵本「白梅学徒隊きくさんの沖縄戦」を分かりやすい言葉で読み聞かせ、講話の前後に沖縄戦や平和について考えてもらうグループワークを行う。午前11時~正午(受け付けは10時40分~)まで、参加費無料。

(中村万里子)